大森候補者団の立候補声明


大森候補者団の立候補声明の全文です。
投票の参考にしてください。

京都大学全学自治会同学会・執行委員会 13年度 中央執行委員会予備選挙
立候補宣言

委員長候補:大森靖之(薬)副委員長候補:纐纈貴文(農)書記長候補:作部羊平(工)
委員候補:平田郁生(理)委員候補:冨山小太郎(農)

【0】はじめに
私たちは京都大学全学自治会同学会・中央執行委員予備選挙に立候補します。この選挙を通じて、できる限り多くの学生が自治会のすばらしさを知り、ますます自治会の担い手として飛躍していくことを願います。以下立候補宣言を書きましたので読んでみて下さい。投票の参考にしていただけたらと思います。

(1)自治会の原則
この立候補宣言は、一貫した原則に貫かれて書かれています。それを私たちは「自治会の原則」と呼んでおり、そのことを理解して読まないと本文の内容がつかみにくいかと思います。
本文に入る前に、しっかり確認します。

学生が声をあげるのは当たり前
今日の学生の自由は学生自治会を通じ、多くの学生の声を大学運営に届け続けることで守られてきました。税金を使って学生生活を送っているのに、さらに大学にものを申してよいのかという意見もあります。しかし私達は、社会に支えられているからこそ次の社会の展望を語る場所としての大学を維持し、恩返しをしなければならないと思っています。

民主的団結こそが力
そのためには、大学外部からの圧力に屈せず、一人一人の大学の構成員が対等な立場で自主的に話し合い、大学に関わることを、個人の多様な考え方を尊重しながら、民主的に決定することが必要です。自治会の源流には、第二次世界大戦中に実施された学徒動員や軍事研究に例を見る、国家権力による大学の私物化を許さないという思いがあります。戦後の自治会は、一人では弱い立場の学生が自治会として団結した際、国家とすら対等に話せるという力関係を作ってきました。

(2)全員加盟制の自治会
同学会は京都大学の全学の自治会で、日本最古の全員加盟制自治会です(1947年発足)。京都大学の学籍を持つ全学生が加盟しています。これは、学生に関わることに、個人差が生じえない以上、全ての学生に自治会に参加する権利を認めるというものです。例えば、自治会が授業料の値下げを要求して、学費が下がったとします。ここでは、全ての学生の学費が等しく下がるのですから、その方針に対して、等しく発言する権利が学生には必要でしょう。同じことは国政における普通選挙の思想にも貫かれていることと思います。
全ての京大生に同学会を担う権利があります。権利を行使してみてください。

【1】同学会を取り巻く情勢
私たちを取り巻く情勢は大きく変わろうとしています。大学改革と呼ばれるものです。
私たちは以下に述べる大学改革に自治会として対決したいと思います。なぜならば、それが学生の自由な活動を著しく規制するものだからです。そのことを明らかにするために、具体的に何が起きているのか社会情勢も通じて、確認していきます。

(1)        この間の京都大学の動き
 まずは、なによりも、私たちの通う京都大学で起きていることを見て行きます。
 結論から先に言いますと、京都大学で始まっている全ての大学改革が、学生や教職員の意思を一切無視する形で、強権的に進められているという状態です。京都大学の「自由な学風」の伝統が、大きく揺らいでいるといえます。

116日の部局長決定
昨年の116日には、有志団体からの大学への申し入れは今後一切受け取らないことが部局長会議で決定されています。教授会や公認の自治会からは受け取るという風に言っていますが、大学が昨年行ったことは教授会や自治会との約束事すらも踏み破ることばかりでした。

吉田寮自治会の攻防
吉田寮自治会は長年にわたる老朽化対策の交渉を一方的に踏破られ、食堂を取り壊すという決定がなされようとしていました。昨年424日には、吉田寮食堂の解体に反対する学生ら200人が副学長と夜通し団体交渉を行い決定を撤回させています。A棟の交渉は継続中です。大学が4,700円の寮費を理由もなく押し付けようとしています。

熊野寮自治会の攻防
熊野寮自治会は福利厚生施設としての増寮要求を無視され続け、代わりに大学の中に思修館というグローバルリーダー育成のための学寮を総長の権限で作られました。
寮自治会は長年、寮の新設・改修に関しては大学、学生双方で話し合いの場を持つという確約を引き継いでいます。
昨年124日には熊野寮祭の企画で総長室突入行動があり、総長には逃げられましたが、5時間あまり弾劾を行っています。副学長との交渉に持ち込み、成果をあげました。

国際高等教育院構想をめぐる攻防
昨年920日には総長が教職員に一斉メールを送り、全学教育科目再編、国際高等教育院構想が明らかにされます。素案では、総合人間学部・人間環境学研究科を中心に、教員が持つ教育と研究の裁量権、教授会による人事権を抜本的に見直し、総長直轄の大学院(国際高等教育院)に統合するべきというものでした。昨年1112日に人環教授有志や学生が国際高等教育院に対する反対運動を開始。けれど総長はゴリ押しを続け、教授会の全会一致の反対決議を無視。それに対して300人あまりの教官有志が総長リコールの署名を集め、現在も闘っています。その高揚の中で、総人自治会準備会もできています。

学生生活の大転換
 これらの学生自治、教授会自治の軽視の状況の中で、学生生活の管理強化が次々と進んでいます。それは、例えば、立て看板設置の規制、自転車通行規制、正門の夜間封鎖、自主的な学習スペースの削減、などです。
また、これらに加えて、キャップ制の導入や全学共通科目の再編など、授業運営についての大幅な転換も準備されているようです。
これらの大きな変化もまた、学生と一切話し合うことなく準備されたものです。

(2)根底にある安倍首相の成長戦略
どうして京都大学が、今、劇的に転換を見せているのでしょうか。私達は、今回の大学改革を総長の思い付きによるものではなく、安倍首相の成長戦略に沿った国家的プロジェクトの一環だと分析しています。京都大学での大学改革と対決するためには、今の大きな政治の流れも見ていかなくてはなりません。

政府の成長戦略
2013111日の緊急経済対策で、安倍首相は経済再生に向けて10.3兆円の国費を投入しています。首相は記者会見の場で「縮小均衡の再配分から、成長による富の創出へと大転換をはかる」と経済対策の狙いについて述べています。具体的に強い経済を取り戻すには、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢を同時展開すべきという話です。
この成長戦略の中に、大学改革は明示に位置付けられ、民間投資の名のもとに大学自治が破壊されているという関係です。 
今の日本の財政赤字は1200兆円を越えています。日本のGDP500兆円ほどなので、国民が2年間ただ働きをしなければ返せないほどの借金です。大幅な金融政策により赤字はさらに増大しています。今後大学改革の流れはますます強いものになることが予測されます。

新自由主義の拡大
安倍政権の成長戦略の要は、新たな成長市場の産出です。その大きな柱として、「聖域」として保護されてきた公的機関の民営化があげられています。これらは新自由主義政策と呼ばれますが、結局安倍首相は、新自由主義政策に頼るしかないように思えます。もうそこしかお金がもうけられる所は残っていないのです。
しかし、「大学」や「真理」が金儲けの手段になっていいのでしょうか。私たちは、しっかり考えていく必要があると思います。

(3)大学改革の中で起こっている事
大学改革とは即ち教育の民営化のことです。それによって何が起こっているのか、見てみます。

議論の打ち切り
単刀直入に言うと、民営化とは今まで税金等を使って公的に保障してきた機関を金儲けの手段に置き換える行為だと思います。私達はそれは必ず民主主義の破壊につながると考えます。大学が公的機関として歴史的に確保されてきたのは、学生の民主主義的な議論を保障し、次の社会の展望を語っていくという重要な役割があったからです。しかし民営化をする場合には、議論を金儲けという『有無を言わせない』行為に収束させてしまいます。
原発研究などはその典型です。原発が多額の利潤をうむがゆえに、原発に賛成する立場の研究者が強い発言権を持ち、安全性や人体への影響を注視する多くの学生・研究者の声は隅に追いやられてきました。

学生の大学運営からの排除
文部科学省は20126月から大学改革実行プランに基づき、研究機関の強化・大学評価基準のみなおしを図っていました。京都大学のIPS細胞などの研究拠点への集中投資を行っています。国際高等教育院構想を国立大学改革強化推進事業として採用したことは記憶に新しいです。
また、2012年度からは、国際的に活躍できる優れた人材の育成システムを産業界から求められていたこともあり、文部科学省の博士過程リーディングプログラムのひとつとして京大の学寮型大学院思修館が採用されています。
これらの政策はその内容もさることながら、議論の形成段階においても学生は一切排除されて行われました。政策の決定過程では、機動的な財政政策により、松本総長の権限は強化され、産学連携の美名のもとに学生が大学運営に参画する場は奪われてきました。

学生生活の破壊
例えば自治寮の民営化。大学側が述べる基本的な発言要旨は、「学生のニーズに合う寮を作りたい」「利益を出して税金の無駄遣いを補填したい」というものです。けれどその合理化は学生の生活を破壊しています。元々公的機関は利益を出してはならないところです。それは、利益の話をしだすと学生全体の生活をどうやって保障するかの議論が後回しにされるからです。

(4)国家の暴力と対決してきた同学会の歴史
これらの大学改革は国策だから仕方ないという声が聞こえてきそうです。しかし、同学会は時に、国策と対決しながら学生の自由な活動を守ってきました。大学のみならず、国家が学生の生活に向き合わないのならば、国家政策とも対決していかなければなりませんし、それができるのが同学会です。
以下に、同学会が国家権力と対決しながら学生の権利を守ってきた歴史を記しました。先輩たちの苦闘の中から、今の私達に何ができるのか考えていきましょう。より詳しくは同学会の公式パンフに書かれているのでそちらを読んでください。

1        学生の権利を守る自治会として
同学会は、1948年の文部省による学費3倍値上げ案に対して、授業料納付を拒否するなどの抗議行動を展開し、全面的に対決しています。
1960526日に行われた同学会・大学院会・職員組合・生協・教官有志による全学大会では、「日本の将来は国民の意思により決められるべきである。そのために即時国会の解散を要求する」という大会宣言が出されています。沖縄の基地問題・戦争問題が連日大きく取り上げられる中で、同学会を中心とする京都大学の構成員は国策とも対決し、堂々と国会解散を要求したのです。大学内が非常に活性化していたことが見受けられます。
 
組織破壊と闘う自治会として
同学会の歴史の中には、大学や国家による解散命令や、執行部の腐敗によって学生の権利が蔑ろにされる事態が何度か発生しています。けれどその度ごとにそれを乗り越える主体が生み出され、80年代までに3度の再建が行われています。以下再建の過程を簡略に提起します。京都大学の学生がどれほど主体性に満ちた存在かが分かると思います。

ア)第一次再建(1953年) 
 1951年に「京大天皇事件」が起きました。これは昭和天皇の京大来学時に、新聞社の宣伝カーが「君が代」を流し始めたとき、学生約2000人が「平和の歌」を合唱した事件で、この事件を、大学当局は「大学に対する社会の信頼を裏切るもの」としました。そして、「告示十三、十四号」により同学会解散命令を下し、同学会委員長を含む8人の学生を無期停学処分にします。
 この当局による同学会弾圧は、学内に強い反感を呼び、解散反対の署名は2700筆にも昇りました。当時の宇治分校も同学会解散および委員の処分反対の決議を挙げています。大学当局はこれらの運動を抹殺しようとしますが、学生はへこたれることなく運動を展開し、当局の許可をまたずに実力再建しようという動きが盛んになります。そしてついに、19531月、当局も同学会再建準備会を認めざるをえなくなり、同年6月に行った全学学生投票では再建賛成に4500票以上(全学生の6割以上)を集め、代議員会により再建宣言が発せられ、晴れて同学会は再建を果たします。

イ)第二次再建(1959年)
1955年、当時の滝川総長に対し同学会が創立記念祭の開催を求めており、その実施方法をめぐる両者の協議が決裂、直後再交渉を学生が求める中で、大学当局によって警官隊が導入されました。大学当局は同学会解散を命じ、この中で2人の学生が逮捕起訴されました。
 学生側は、この弾圧もはねのけ自治会再建を再度行います。1958年になって、同学会の再建運動が活発化し、再建準備会は代議員選挙の公示を行いましたが、大学当局は「告示第七号」によって選挙を禁止しました。しかし、再建準備会はあくまで選挙を強行し、3600票を集めます。大学当局は「告示第八号、第九号」を提示し、9人の学生の不定期停学処分と同学会解散を発表して、選挙を潰そうとします。この弾圧も、宇治分校の学生らがハンストを行う中で、処分を解除させます。これら運動の高まりの中で、19595月にようやく大学当局に同学会の再建を認めさせます。5月には同学会再建規約の信任投票があり、約4900人が投票し、4000人を超す賛成票をもって、再建が決まりました。同年6月に代議員選挙が行われ、全学生の半数以上が投票し、代議員会の場で、同学会再建宣言が発せられました。

ウ)第三次再建(1972年)
0年代の同学会が直面した課題は、執行部をいかにして変革し、民主的な同学会をつくっていくかという課題でした。19706月。1707名の署名によって史上4度目の全学学生大会が開かれます。しかし当時の執行部はこれに最後まで敵対します。
 同年末には、選挙を行わず執行部を名乗っていた人たちが突如選挙を行い、一週間足らずで締切り、当選したと発表する事件がおこります。また、1972年には執行部が代議員会を十分に周知せずに強行し、同学会の私物化を続けます。
 ここに来て、学生の怒りは臨界点に達します。そして、ついに19721129日。2976名の出席により全学学生大会が勝ち取られ、賛成2588名によって執行部のリコールが決議されました。12月の代議員会で新委員長が選出され、同学会が真に学生の自治会として再建されました。

同学会の現状
しかし80年代後期に入ると全学選挙は行われなくなり、同学会を知る人も少なくなっていきます。資料が附属図書館や資料館に残されておらず、京大新聞でも取り上げられていないので、詳しい運営についてはよくわからないのですが、どうやら同学会は休止状態にあったようです。この時期は全国的にも学生自治が衰退しています。
そうした中、2011年には福島原発事故が起こり、社会インフラの安全性をめぐって全世界で大論争になりました。これを契機にして多くの学生が再び国家や大学の統治に対する疑問を強く抱き始めるようになりました。「テレビで言われていることは本当なのか。」「大学での真理の追究(研究活動)はどう社会に生かされているのか。」などです。
また、一方で、寮の自治会が大学との交渉範囲を限定されたり、お金にならない研究、被論文引用数が少ない研究が一方的に切り捨てられる事態が長年続いていました。これらの自体は、寮自治会や学部自治会単体ではどうすることもできず、全学的な交渉は待ったなしに求められていました。
この中で、大学内で自治意識が活性化し、昨年度より同学会の全学的な再建運動が始まったというわけです。

(5)大学改革への反撃の開始
 現在の情勢は、自治会にとって厳しい状況にあります。しかし、その一方で、「これでは大学は維持できない!」という反対の声も上がっています。大学自治を守るために全国全世界で展開されている運動を見てみましょう。

国際的な反撃
公的部門に新自由主義を適応するというやり方は、世界中で起こっています。けれど負けていません。ギリシャでは連日公務員が解雇反対のストライキに立っています。またドイツでは国民投票を実施して原発廃炉を可決したり、学生が国家による学費値上げと対決して学費無償化を勝ち取ったりしています。

全国の大学で自治会復権の兆し
同学会の再建に感動した広島大生が、広島大学でも自治会再建を目指して、運動を開始しました。
広島大学の学生は、民営化の中で大学が核開発に手を貸していることを弾劾し、被曝者を始め、多くの学生と自治会再建のための議論をしているようです。日本でも自治会が再建され始めているのは頼もしいことです。

(6)改めて訴えたいこと
大学改革は市場経済に関わる人たちだけではなく、経済の成長には直接関与しない人たちも全て巻き込むような大きな改革です。それは、各人が学問を大学で行う意義を、あらためて、見出していかなければならないということだろうと思います。
学生自治会は大学運営の主体になるための組織です。どこまでも学生の立場に立って議論する中で、よりよい方向性が見えてくると思います。

【2】昨年の実践
 上記確認してきたような情勢の中で、同学会は復権され実践してきました。私達は、昨年先輩方が積み上げたものを引きついで、自治会運営に役立てたいと考えています。以下、昨年の実践を改めて確認するとともに、小括をしていきたいと思います。

(1)具体的実践
クラス討論の復権
昨年から執行委員会を中心にクラス討論を始めています。クラスの人の意見を参考に、自治会の方向性を決めて行きました。

自治会の実務的な整備
多くの人が自治に携われるように、昨年の10月より様々な整備を行いました。

ア)ホームページの開設 
今後の日程や過去のクラス討論資料などが保存されています。

イ)過去問データベースの作成
試験対策用の過去問を数百の規模で集めました。近日中に公開する予定です。

ウ)申し入れ書の提出
大学運営に学生の思いを反映させるために、申し入れ書を提出しています。立て看板規制・自転車規制に関してや、運営交付金削減、カリキュラムの再編に関する内容です。

エ)中執行動
中執の人と話せる機会を設けました。毎週金曜日の昼休みには、クスノキ前で中執の人が演説しています。

オ)公式パンフの作成 
教官や学生のカンパを通じて公式パンフも作成しました。自治会の取り組みが詳しく書かれています。受け取りたい人は、dougakukai.kyoto@gmail.comに御一報ください。

カ)翻訳部会の前進
日本語版がなかったチェルノブイリ被爆実態レポートの翻訳プロジェクトに自治会の有志で携わり、低線量被曝の実態を暴きました。プロジェクト本体のアドバイザーをしてくださっていた京大原子炉実験所の今中哲二助教にその文献の発刊記念講演をしてもらい、学生市民あわせて70人ほどが集まり大成功しました。

(2)見えて来た展望と課題
これらの運動の前進の中で、多くの教訓や課題が見えてきました。

自治会の重要性について
やはり一人では弱い立場の学生が、全学に問題意識を訴えることで力をつけていくという所に自治会の最大の意義はあると思います。昨年のクラス討論では批判も賛同も含めてたくさんの議論ができ、自治会の担い手が着実に増えていると思います。昨年はその効果もあり京大の経営協議会にいた藤洋作という人物(:巻末8)が退任するという事態もうまれました。

運動のさらなる拡大へ
大学当局とは違う意見を持つものの声ははじかれ、学生が行動できる幅がますます狭くなってきています。就職につながらなければ無意味という風潮の中、頭の中で自由にものを考えることさえ難しくなってきています。それら様々な学内攻防に対し同学会は、参加人数は少ないながらも自治会の原則を守りぬいたと思います。今後はより幅広い層の学生と討論し、学生の行動範囲・思考範囲を増やしていけたらと思います。

【3】同学会を発展させるための3つのスローガン
 2004年の国立大学法人化以降、大学はますます民営化され、大学運営に学生の声が届かないものになってしまいました。自治寮を筆頭に様々な自治団体が頑張っているとはいえ、全学生が自治会に触れる機会は非常に少なくなっていると思います。
この情勢の中で私達は3つのスローガンを掲げ、自治会の復権に向けて頑張ります。

(1)全員自治
自治会は構成員全員が自治を担う主体となって動いた時、それはもう莫大な力を発揮します。同学会の歴史で見てきたように、そこで培われた団結には、天下国家ですらかないません。過去に自治会が大きな力を発揮した全国の例をいくつか記します。
法政大学では、私立大学にもかかわらず、自治会の交渉で学費が国立大学よりも安くなっていた時期がありました。沖縄大学では、教職員と学生、大学職員がつながって独自に学生を募集し、入試を行ったこともあります。東京大学では、最近まで、自治会がひとつの授業を持っていて大学はその履修者に単位を出していました。
中央執行委員会の主な役割としては、学生が大学の中で議論をはじめる際、その補佐を行うことです。そして学生の主体を引き上げて、議論を全学的なものにしていくことです。これらの行動の中で全員が自治の主体となって行動したときに、同学会の無限の可能性が開かれることでしょう。全員自治はその思いを込めたスローガンです。

(2)総長団交
学生や教職員からものを言う権利が奪われ、自由な学生生活・研究活動に制限がかけられています。その中で総長の権限のみが強まっています。学生と向き合わないのに「学生のため」として政策をうたれても困ります。あらためて総長がなぜ今の政策を行っているのかいっしょに議論したいと思います。
総長の命で動く副学長や理事補と話すことも大切ですが、大局を変えるためには最終責任者である総長と対話をすることが必要だと思います。多くの自治団体が総長と話そうとしていますが、ことごとくストップがかけられており、いまだ実現していません。私達も話せたことはありません。大学運営に学生の声を届けるためにも、あらためて総長団交が出来る自治会にしていくことが大事だと思います。

(3)国際連帯
海外でも同じように自由にものを言う権利が奪われており、それに反対して同じように学生が声をあげています。その中にはドイツの学生のように勝利している事例もあります。
私たちの原則的な自治活動は海を越える万国共通のものだと考えています。大学当局や総長がグローバル化を叫び、全世界と繋がっているのですから、私達も全世界の自治団体とつながり、自治を発展させるネットワークを作っていけたらと思います。
その時、最大の核心は留学生と団結し、交流することだと思います。京都大学は国際交流が盛んで留学生がたくさん来ていますが、彼らの生活を保障する制度はあまりに少ないです。留学生向けの寮は家賃が4万円近くであることや、留学生の思いを全学生と共有する場所がない事は非常に問題だと思っています。
この状態を放置したままでは学生同士に分断が生まれ、自治会運営に支障をきたす恐れがあります。情勢分析で記した内容を踏まえ、海外からの留学生とはきわめて意識的に討論をしても良いと思います。中央執行委員会だけで解決できる問題ではありませんが、団結を拡大して乗り越えて行きたいと思い、スローガンとしました。

【4】本格的自治会運営に向けた2つの大方針
これらのスローガンを掲げていくためには、まず大学当局との関係を整理しなければなりません。長年凍結されてきたすべての権利を取り戻して、自治会を自治会として運営できるようにしていかなければならないと思います。そのために、大きな方針を二つ提起します。

(1)同学会再建宣言をあげよう
今、自治会としての大学との交渉権は停止されています。昨年の6月22日に告示第五号(注:巻末8㌻)というものが出されており、同学会の基本的な権利を大学側が停止し続けているのです。
自治会の実質的再建は、出来る限り多くの学生が自治の担い手のなったときに成功します。より多くの人がクラス討論や部会の活動に積極的に参加してくれることを願います。その上で、いくらクラスや路上で討論が尽くされても、大学運営に反映されなければ効果は半減です。時期を見て、同学会再建の学生投票をした上で、再建宣言を挙げ、その結果を参考にして大学との交渉権を復帰させていきたいと思います。

(2)総長団交要求署名を集めよう
総長との交渉を行うための行動です。クラス討論の中で多くの学生が総長団交要求の要求書に賛同してくれています。勢いそのままに、今後全学的な署名活動を始めようと思っています。

【5】実務的な5つの小方針
大方針を踏まえた上で、諸所の小方針に入ります。
以下に述べる方針は同学会の一人一人の学生ができる範囲で行うものです。まだ議論していないものもいくつかありますが、つながりが拡大する中でいずれできるようになると考えて先に書きました。合致するものがあれば、執行委員会に入って、共に行動して欲しいです。

(1)国際連帯の運動に関して
留学生との結合
留学生問題として、研究室でのアカハラや、住環境の不整備などを私達は耳にしています。京都大学には国際交流センターという留学生用の生活相談窓口がありますが、個別に相談するだけでは限界があると思います。全学の学生と結合して、教育の保障されていない問題として取り組んだ時に初めて解決する問題も多いと思います。ぜひ共に行動しましょう。

海外の学生との結合
京大生の中に海外に留学する学生もたくさんいます。連帯活動はまずは国内からになると思いますが、私達の活動は国境すら越えるということをたびたび思い出してほしいです。具体的な内容は決まっていませんので、今後検討していこうと思います。

(2)学習環境改善
図書館の使用規制
京都大学の付属図書館の使用規制が始まっています。共同利用研究室の利用者を、研究内容に応じて恣意的に選ぶようになりました。それでは、大学が認めていない研究目的では利用できなくなる恐れがあり、非常に問題です。どうにか取り組んでいきたいです。

その他
附属図書館の例は象徴的ですが、他にも学内で規制されている箇所はあるかもしれません。今後積極的に取り組んでいこうと思います。

(3)全学の諸団体との連携
昨年622日に告示第五号(注:巻末8㌻)というものが出ています。当局に対して立ち向かうのが自治団体の真髄であると思います。そのためにも、様々な自治団体と連携できる所は連携して行きたいと思います。

1        部屋の貸し出しに関して
告示第五号が出されたことにより、大学から教室を借りることができなくなっています。自治会の運営会議を開くのにも大変苦労しています。自治の発展のためにも、教室の貸し出しができるような諸団体とつながっていきたいです。

2        自治会の連携に関して

ア)学部自治会
昨年出された告示第五号(注:巻末8㌻)の裏づけになった事柄として、多くの学部自治会が再建された同学会を認めていないことがありました。農・経・文・理の自治会が連盟で声明を出していましたが、学部自治会がどういう立場なのか議論する必要があります。今後出来る限り早急に、同学会と学内自治団体の関係を整理して行きたいと考えています。

イ)サークル自治組織
京都大学では随所でサークルの自治活動が行われています。吉田南教室使用サークル団体連盟、西部課外活動団体ボックス連合などがその例です。同学会は西団連に加盟しています。大学当局のサークル活動への理不尽な介入を止めさせるため、協力できるところは協力していきたいと思います。

ウ)寮自治会
寮自治会は京都大学の自治の基盤であり、大学との交渉の蓄積があります。最近でも、吉田寮の建て替えの交渉や、熊野寮での強制捜査に対する交渉など様々な交渉を大学と行っています。今後大学との全学的な交渉を開始する際、参考にし、協力できるところは協力していきたいと思います。

(4)全国の諸団体との連帯
全国的に学生の権利が奪われている問題に対して、同じように声を上げていこうと思います。一致できる所に関しては共に行動したいと思います。

処分撤回に関して
明日はわが身ということで、他大の学生の行動にも興味を持つのはいいことです。どこの大学でも学生は主体的に行動し、自治破壊と対決しています。あらためて学生自治は地続きであることを確認したいと思います。

ア)法政大学での学生処分
東京の法政大学で、サークル自治会の代表である武田雄飛丸くんが、大学から無期限停学の処分を受けています。その理由は、学祭での学内飲酒規制に反対したことが1点。大久保利晃という原発推進の学者が学内で講演会をした時に入室を拒まれ、抗議したことがもう1点です。学生の側が規制に対してモノを言うのは当然です。彼への処分は未だ継続しており、同じく自治を担うものとして危機感を持っています。今後、学内の自治団体で処分撤回の陣形をつくっていけたらと思っています。

イ)広島大学で学生処分の動き
広島大学の自治会準備会の代表が、今年425日に行われた法政大学構内での学生集会に参加したところ、建造物侵入で逮捕されました。56日には釈放を勝ち取りましたが、大学に入ったら逮捕されるというのは異常な事態です。その後、彼に対して広島大学から処分の動きが高まっています。今後の動きに注視していきましょう。

(5)翻訳部会
翻訳部会で翻訳作業を手伝っていた本が、今年の426日に岩波書店から出版されました。『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』という題名で、低線量被曝の実態を暴いている最新の学術書です。翻訳部会は、今後この本を使って多くの研究者や学生と討論し、良心的な研究者とのつながりをつくっていこうという方針を出しています。

どこまで取り組めるかはみなさんが自治の担い手になっていく中ではっきりします。協力お願いします。
以上
巻末注釈
藤洋作氏とは
2004   日の美浜原発事故(28 年間修理されていない配管の破断により、高温ガスが噴出し、人死亡、人負傷の大事故)の責任者として「引責辞任」した人。現関西電力相談役。20126月当時、26 人いる京大の経営協議会委員の一人でした。

藤洋作氏の退任
20126月に松本総長宛に藤洋作氏起用の説明を求める申入書を提出しましたが、回答をせぬまま2012101日付けで委員を退任した。以後経営協議会にある関西電力枠は埋まっていません。

告示第五号とは
昨年25年ぶりに行われた全学選挙を受け、京都大学の文責で出された警告書。『再建された同学会は非公式』『同学会とは関わるな』という旨が、大学当局の視点から一方的に書かれている。

告示第五号の要旨2012622日)
1:「同学会執行委員会正副委員長選挙」は規約に則っていないため、大学が公認する同学会とは関係ないと断定する。この団体が何らかの要求をしてきても認めない。各学部自治会の共同声明で「正式な同学会のものと認めない」とされている。「京都大学同学会」名でも抗議声明文が出されている。これが論拠である。
2:大学に対する以下の行為は大学の自由と権利を侵害するもので、再発すればしかるべき処置(処分)を準備する。
選挙を実施した団体はテントと物品を不正に使用し、クスノキ前のスペースを長期間にわたり許可無く占有し、原状復帰の要請にも応じなかった。
学務部において大声で暴言を吐き、業務時間終了にもかかわらず長時間執拗につきまとい実質的な軟禁を強要した。また、授業準備の妨害などの違法行為をおこなった。

告示第5号の本文と執行委員会による詳しい反論は、2012年前期第4回クラス討論資料に掲載してあるので、気になる人は同学会のホームページよりご覧下さい。

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